- にて
- I
にて(格助)〔格助詞「に」に接続助詞「て」の付いたものからという〕現代語の「で」に相当する語。(1)場所や時を表す。 において。 で。
「十二~御元服したまふ/源氏(桐壺)」「しづかならん所~自害せんとて/平家 9」
(2)手段・方法・材料を表す。 でもって。「深き河を舟~渡る/更級」「女のはける足駄~作れる笛には/徒然 9」
(3)原因・理由を表す。 によって。「我朝ごと夕ごとに見る竹の中におはする~知りぬ。 子となり給ふべき人なめり/竹取」
〔現代語でも, 「これにて」などの形で, 文章語や改まった場合などに用いられることがある。 「これ~会を終了いたします」「これ~失礼いたします」〕IIにて(連語)※一※〔断定の助動詞「なり」の連用形「に」に接続助詞「て」の付いたもの〕(1)指定の叙述を中止して, 下に続ける。 であって。 で。「なさけある人~, 瓶(カメ)に花をさせり/伊勢 101」「阿難は有学の人~智恵浅し/今昔 3」
(2)(多く「…を…にて」の形で)…として。 …にして。「そひ臥し給へる御火影いとめでたく, 女~見たてまつらまほし/源氏(帚木)」「天下を保つ程の人を, 子~持たれける/徒然 184」
(3)(「あり」「候ふ」などの補助用言を伴って)断定的な陳述を表す。 …で(ある)。「二条の后の, まだ帝にも仕うまつり給はで, ただ人~おはしましける時のことなり/伊勢 3」「此の風は追手~候へども, 普通にすぎたる風で候/平家 11」
※二※〔完了の助動詞「ぬ」の連用形「に」に接続助詞「て」の付いたもの〕動作・作用が完了したままの状態にあることを表す。 …してしまっていて。 …していて。「梅の花咲きて散りなば桜花継ぎて咲くべくなり~あらずや/万葉 829」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.